建設業会計:勘定科目対応表
決算書 | 建設業会計 | 一般事業 | 内容 |
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損益計算書 | 完成工事高 | 売上高 | 完成工事の売上高 |
損益計算書 | 完成工事原価 | 売上原価 | 完成工事の原価 |
製造原価報告書 | 材料費 | ||
製造原価報告書 | 労務費 | ||
製造原価報告書 | 外注費 | ||
製造原価報告書 | 経費 | ||
損益計算書 | 完成工事総利益 | 売上総利益 | 完成工事の利益 |
貸借対照表 | 未成工事支出金 | 仕掛品 | 完成していない工事の支出=当期の費用にならない |
貸借対照表 | 完成工事未収入金 | 売掛金 | 完成した工事の未収入金=当期の売上になる |
貸借対照表 | 未成工事受入金 | 前受金 | 完成していない工事の前受金=当期の売上にならない |
貸借対照表 | 工事未払金 | 買掛金・未払金・未払費用 | 完成工事の未払金=当期の費用になる |
決算処理の対応:経過勘定
完成工事 工事や現場ごとに、完成工事高と完成工事原価が対応していることが前提
完成工事未収入金 1,500 / 完成工事高 1,500
完成工事原価 1,000 / 工事未払金 1,000
未完成工事 工事や現場ごとに、未完成工事に関する収入は完成工事高から除かれ、支出は、完成工事原価から、除かれている必要がある。
普通預金 1,100 / 未成工事受入金 1,100
未成工事支出金 1,000 / 普通預金 1,000
建設業における資金繰りや対外的信用力向上のポイント
- 安定または利益率の高い元請・取引先と取引や提供業務の見直しを行う、または、自ら元請となる。
- 元請・取引先の資金繰りや信用度、連鎖倒産・資金繰り悪化に注意。
- 作業場所の距離等(旅費交通費)に注意・考慮する。
- 大きい単価の仕事は、ほかの業務を失う可能性があり、前者が失注した場合は、後者もすぐに業務が開始できず、資金繰りが悪化する可能性がある。
- 市場にニーズがあり、他社が対応できない技術・ノウハウを持ち収益を向上させる。
- 品質、コストや納期など含めて、材料・外注先の見直しを行う。
- 従業員の満足度・教育を向上させ雇用を維持・外注先と安定的に取引を行い、品質が高く業務を安定的に提供する。
- 前受金や着工金・中間金・竣工金などフェーズに応じて、資金を確保する。
- 支払サイクルを一か月後移行など見直す。
- 作業プロセスを見直して、納期を速めて回転数を上げる。
- 法人と個人のお金を区別できないと、役員貸付金勘定が発生し、銀行評価が悪化するため、法人と個人のお金の区別をつける。
- まとまったお金が入るため使い込みがちとなる、接待交際費や会議の使い込みに注意。
- 建設業の分野別の同業種と原価率(材料や外注単価が大きな差がない)は、大きく変わらない中で、経費の乱用は、資金繰り悪化の要因となるため注意。
- インボイスではない事業者の登録を促す。
未成工事支出金の仕入税額控除の時期(消費税)
建設業者が建設工事等を請け負って工事を行う場合には、工事期間中の建設資材の購入費や下請先に対する外注工事費などは、未成工事支出金勘定で経理しておき、請け負った建設工事等が完了し、目的物を引き渡した時点で、売上げに対応する完成工事原価に振り替える経理処理をします。
消費税法においては、この未成工事支出金勘定に含まれる課税仕入れの額は、原則的には資産の引渡しを受けた日や下請外注先が役務の提供を完了した日の属する課税期間において仕入税額控除の対象とすることになります。
→原則、材料等の仕入れがあった時点、外注先の支払があった時点で仕入税額控除を行う
ただし、未成工事支出金として経理した課税仕入れの金額を、請負工事による目的物の引渡しをした日の属する課税期間の課税仕入れとしているときは、継続適用を条件としてその処理が認められています。
国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6487.htmを加工して作成
参考リンク弥生会計 https://support.yayoi-kk.co.jp/business/faq_Subcontents.html?page_id=1462
建設仮勘定の仕入税額控除の時期(消費税)
建設工事の場合は、通常、工事の発注から完成引渡しまでの期間が長期に及ぶため、一般的に、工事代金の前払金または部分的に引渡しを受けた工事代金や経費(設計料、資材購入費等)の額を一旦建設仮勘定として経理し、これを目的物の全部が引き渡されたときに、固定資産などに振り替える処理を行っています。
消費税法においては、建設仮勘定に計上されている金額であっても、原則として物の引渡しや役務の提供があった日の課税期間において課税仕入れに対する税額の控除を行うことになりますから、当該設計料に係る役務の提供や資材の購入等の課税仕入れについては、その課税仕入れを行った日の属する課税期間において仕入税額控除の対象とすることになります。
→原則、材料等の仕入れがあった時点、外注先の支払があった時点で仕入税額控除を行う
ただし、建設仮勘定として経理した課税仕入れについて、物の引渡しや役務の提供または一部が完成したことにより引渡しを受けた部分をその都度課税仕入れとしないで、工事の目的物のすべての引渡しを受けた日の属する課税期間における課税仕入れとして処理する方法も認められます。
国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6483.htmを加工して作成
部分完成基準による資産の譲渡等の時期の特例(消費税)
事業者が請負った建設工事等(法第17条第1項若しくは第2項《工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例》の規定の適用を受けるものを除く。以下9-1-8において同じ。)について次に掲げるような事実がある場合には、その建設工事等の全部が完成しないときにおいても、その課税期間において引き渡した建設工事等の量又は完成した部分に対応する工事代金に係る資産の譲渡等の時期については、その引渡しを行った日とする。(平11課消2-5により改正)
(1) 一の契約により同種の建設工事等を多量に請負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
(2) 1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
国税庁https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/09/01/02.htmを加工して作成
機械設備の販売に伴う据付工事による資産の譲渡等の時期の特例
事業者が機械設備等の販売(法第17条第1項若しくは第2項《工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例》の規定の適用を受けるものを除く。以下9-1-9において同じ。)をしたことに伴いその据付工事を行った場合において、その据付工事が相当の規模のものであり、その据付工事に係る対価の額を契約その他に基づいて合理的に区分することができるときは、機械設備等に係る販売代金の額と据付工事に係る対価の額とを区分して、それぞれにつき資産の譲渡等を行ったものとすることができるものとする。(平11課消2-5により改正)
(注) 事業者がこの取扱いによらない場合には、据付工事に係る対価の額を含む全体の販売代金の額を対価とする資産の譲渡となり、その資産の譲渡等の時期は9-1-1による。
元請業者が作成する出来高検収書の取扱い(消費税)
元請業者は、当該出来高検収書を作成し下請業者に記載事項の確認を受けることにより、当該出来高検収書に記載された課税仕入れを行ったこととなり、法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用できるものとして取り扱う。(注) この取扱いは下請業者の資産の譲渡等の計上時期により影響されるものではないことに留意する。
→出来高検収書が法の要件を満たすように作成されている場合は、仕入税額控除を行うことができる
国税庁https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/20230930/11/06.htmを加工して作成
建設工事等の引渡しの日の判定(消費税)
請負契約の内容が建設、造船その他これらに類する工事(以下「建設工事等」という。)を行うことを目的とするものであるときは、その引渡しの日がいつであるかについては、例えば、作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等、当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じてその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、事業者が継続して資産の譲渡等を行ったこととしている日によるものとする。
国税庁https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/09/01/02.htmを加工して作成
簡易課税制度(消費税)
簡易課税制度は、中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択により、売上げに係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。
具体的には、その納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税事業者は、その基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、売上げに係る消費税額に、事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、売上げに係る消費税額から控除することになります。
→建設業 みなし仕入率 70% 第3種事業 材料自社
→建設業 みなし仕入率 60% 第4種事業 役務提供(材料元請提供)、足場業、解体業
→建設業 みなし仕入率 50% 第5種事業 設計・測量・建築士
※会社内で、事業区分が異なる場合は、上記区分して計算
不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
土地建物売買契約書などの不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるもの(第1号の1文書)
建物建築工事請負契約書などの建設工事の請負に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が100万円を超えるもの(第2号文書)
国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htmを加工して作成
国税庁https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/03.htmを加工して作成