申告の誤りに気づいたら、税務署から調査の通知が来る前に自主的に修正申告・期限後申告をすると、加算税がかからないか軽くなります。加算税は過少申告10〜15%、無申告15〜30%、仮装・隠ぺいの重加算税35〜40%で、延滞税は令和8年中なら年2.8%(2か月超は9.1%)が日割りでかかります。
この記事の結論
加算税は「誰が先に誤りに気づいたか」で大きく変わり、延滞税は「納付が遅れた日数」で増えます。気づいた時点で自主的に申告し、本税をすぐに納めることが、負担を最も小さくする方法です。
- 調査の事前通知の前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税はかからない
- 期限後申告も、調査の事前通知の前に自主的に行えば無申告加算税は5%
- 仮装・隠ぺいがあると重加算税(過少申告・不納付は35%、無申告は40%)に置き換わり、さかのぼる期間も7年になる
- 延滞税は令和8年中、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%
- 一度に払えないときは、放置せずに換価の猶予・納税の猶予を早めに相談する
加算税と延滞税は何が違う?4つの加算税の割合
加算税は、申告や納付の義務を果たさなかったことに対する行政上の制裁として、本税に上乗せされる税です。過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税の4種類があります。延滞税は、納付が遅れた日数分の利息に当たる税で、加算税とは別に計算されます。
| 種類 | かかる場面 | 原則の割合 | 自主的に申告・納付した場合 |
|---|---|---|---|
| 過少申告加算税 | 期限内に申告したが、税額が少なかった | 追加の税額の10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%) | 調査の事前通知の前なら、かからない |
| 無申告加算税 | 期限内に申告しなかった | 15%(50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30%) | 調査の事前通知の前なら5% |
| 不納付加算税 | 源泉所得税を法定納期限までに納めなかった | 10% | 税務署から納税の告知を受ける前に納めれば5% |
| 重加算税 | 仮装・隠ぺい(二重帳簿・架空計上など)があった | 過少申告・不納付は35%、無申告は40% | 調査による更正などを予知する前の自主的な申告なら課されない |
| 延滞税 | 本税を納期限までに納めなかった | 令和8年中は年2.8%(納期限の翌日から2か月を過ぎると年9.1%) | 早く納めるほど少なくなる |
加算税の中で最も重いのが重加算税で、仮装・隠ぺいがあったと認定された場合に、過少申告加算税や無申告加算税に代えて課されます。本税と合わせると納付額が大幅に膨らみます。仮装・隠ぺいのような偽りその他不正の行為がある場合は、税務署がさかのぼって更正・決定できる期間も、原則の5年から7年に延びます。
繰り返すとさらに加重される仕組みもあり、過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合などは、割合が上乗せされることがあります。
本税100万円なら加算税はいくら?早見と計算例
追加で納める本税を100万円と仮定すると、加算税の概算は次のとおりです。同じ100万円でも、申告の時期と仮装・隠ぺいの有無で、上乗せされる金額が大きく変わります。
具体例:本税100万円の場合の加算税・延滞税の概算
- 過少申告加算税(調査で指摘された場合):100万円×10%=10万円
- 期限内申告税額が50万円以下なら、50万円を超える部分に5%が加わる:50万円×5%=2.5万円。合計 10万円+2.5万円=12.5万円
- 無申告加算税(調査で指摘された場合):50万円以下の部分 50万円×15%=7.5万円、50万円を超える部分 50万円×20%=10万円。合計 7.5万円+10万円=17.5万円
- 無申告加算税(調査の事前通知の前に自主的に期限後申告した場合):100万円×5%=5万円
- 重加算税(過少申告の場合):100万円×35%=35万円
- 重加算税(無申告の場合):100万円×40%=40万円
- 延滞税(納期限の翌日から60日で納付):100万円×2.8%×60日÷365日=約4,602円
いずれも令和8年中の割合による概算で、計算の基礎になる税額の端数処理などにより、実際の金額は異なります。
ツール延滞税・加算税の概算を計算する本税の額と納付が遅れた日数、加算税の種類を入れると、上乗せされる金額の目安を計算できます。計算する
延滞税はいくら?令和8年の割合と日割りの計算
延滞税は、本税を法定納期限までに納めなかった場合に、納期限の翌日から納める日までの日数に応じてかかります。割合は納期限の翌日から2か月以内と、2か月を過ぎた後で異なり、毎年の金利の水準をもとに見直されます。
令和4〜7年は年2.4%と年8.7%でしたが、金利の上昇を受けて令和8年は引き上げられています。追加の税額100万円を納期限から2か月以内(60日)に納めれば延滞税は4,600円程度で済みますが、1年放置すると数万円規模に膨らみます。
計算例:本税100万円を1年後に納めた場合の延滞税
例えば、本税100万円を納期限の翌日から365日後に納める場合です(令和8年中の割合で、最初の61日を2か月以内として計算します)。
- 2か月以内の部分:100万円×2.8%×61日÷365日=約4,679円
- 2か月を過ぎた部分:100万円×9.1%×304日÷365日=約75,792円
- 合計:4,679円+75,792円=80,471円
2か月を過ぎると割合が3倍以上になるため、2か月以内に納めた場合と比べて延滞税は大きく増えます。実際の金額は端数処理により異なります。
延滞税は本税に対してかかり、加算税にはかかりません。資金が足りないときは、まず本税を納めることを優先します。また、期限内に申告していて、法定申告期限から1年を経過した後に修正申告をした場合には、計算期間の特例があります。1年を経過した日の翌日から修正申告をした日までの期間は、延滞税の計算から除かれます(偽りその他不正の行為がある場合を除く)。
自主的に動けば軽くなる?調査の通知の前後で変わる負担
税務調査の事前通知より前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税は課されません。無申告も、調査の前に自主的に期限後申告すれば5%に軽減されます。事前通知が来た後でも、調査で指摘を受ける前に申告すれば、指摘を受けてからより負担は軽くなります。
| 申告した時期 | 過少申告加算税 | 無申告加算税 |
|---|---|---|
| 調査の事前通知の前に、自主的に申告 | かからない | 5% |
| 事前通知の後、調査による更正・決定を予知する前に申告 | 5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%) | 10%から(税額に応じて段階的に上がる) |
| 調査の指摘を受けて申告(更正・決定を予知した後) | 10%(同じく超える部分は15%) | 15%(50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30%) |
| 仮装・隠ぺいがあり、調査で指摘された | 重加算税35% | 重加算税40% |
計算例:納付すべき税額400万円を期限後に申告する場合
- 調査の事前通知の前に自主的に申告:400万円×5%=20万円
- 調査で指摘されて申告:50万円以下の部分 50万円×15%=7.5万円、50万円超300万円以下の部分 250万円×20%=50万円、300万円超の部分 100万円×30%=30万円
- 調査で指摘された場合の合計:7.5万円+50万円+30万円=87.5万円
自主的に申告するかどうかで、加算税だけで 87.5万円−20万円=67.5万円 の差になります。
法定申告期限から1か月以内に自主的に期限後申告し、納付も期限内に済ませているなど一定の要件を満たす場合は、無申告加算税が課されないこともあります。申告を忘れていたと気づいたら、その日のうちに準備を始めるのが得策です。
事前通知が来てからでも遅くはない
事前通知では、調査の日時や対象の税目・期間が伝えられます。通知が来た後でも、調査の当日までに誤りを見つけて修正申告をすれば、調査で指摘されてからよりも加算税は軽くなります。調査の流れと準備は税務調査の流れと準備で整理しています。
誤りの範囲がどの年分・どの税目に及ぶかで、修正の方法と負担が変わります。調査の通知の前でも後でも、初回無料で確認できます。
無料で相談する修正申告・期限後申告はどう進める?
修正申告は確定申告書を作り直す要領で提出でき、e-Taxにも対応しています。次の順番で進めると、加算税と延滞税の負担を抑えられます。
- 誤りの内容と年分を確かめるどの年分・どの税目で税額が増えるのかを確認します。売上の計上漏れなら、所得税や法人税だけでなく消費税にも影響します。
- 正しい税額を計算する売上や経費の誤りを直し、正しい所得と税額を計算します。同じ誤りが他の年分にもないかをあわせて確認します。
- 修正申告書(期限後申告書)を作る確定申告書と同じ様式で、正しい金額を記載して作成します。
- 提出と同時に本税を納める修正申告で増えた税額は、修正申告書を提出した日が納期限です。延滞税は本税を納めた日まで日々かかるため、提出と同じ日に納めます。
- 加算税と延滞税を納める加算税は、後日税務署から届く賦課決定の通知に従って納めます。延滞税は自分で計算して納めることも、案内を待って納めることもできます。
- 地方税の手続きを確認する個人は所得税の修正申告の内容が市区町村に伝わり、住民税などが計算し直されます。法人は法人住民税・法人事業税の修正申告も行います。
逆に税金を多く申告していた場合は「更正の請求」(原則として法定申告期限から5年以内)で取り戻せる場合があります。修正申告と違って税務署の調査を経て減額されるため、誤りを示す書類を添えて請求します。
札幌市内で書面の修正申告書を出す場合
2026年7月10日から、札幌市内の5つの税務署の内部事務は札幌業務センターに集約され、書面の申告書や届出書は同センターへ郵送します。e-Taxでの提出や窓口への持参は、これまでどおり所轄の税務署です。
当事務所では、申告だけのスポットのご依頼はお受けしていません。修正申告も顧問契約の中で、誤りの原因の確認から修正申告書の作成、税務署とのやり取り、同じ誤りを繰り返さない記帳の体制づくりまで、継続して支援しています。
一度に納められないときはどうする?
一時に納付できない場合は、換価の猶予や納税の猶予といった制度があります。放置すると督促を経て財産の差押えに進むことがあり、延滞税も増え続けるため、資金繰りが厳しいときほど早めに税務署へ相談します。
換価の猶予
- 一度に納めると、事業の継続や生活の維持が難しくなるおそれがある場合
- 納期限から一定の期間内に、税務署へ申請する
- 分割で納める計画を出し、猶予の期間中は延滞税が軽減される
納税の猶予
- 災害、病気、事業の休廃業や著しい損失などで納付が難しい場合
- 事情がわかる書類を添えて税務署へ申請する
- 猶予の期間中の延滞税が免除・軽減される場合がある
どちらの猶予も、申請の時点で納付の計画を示すことが求められます。毎月の売上と支払いの見込みから、無理なく納められる金額を先に決めておくと、相談が進めやすくなります。未納を放置したときのリスクは税金未納のリスクと対策で詳しく説明しています。
よくある質問
加算税や延滞税は、経費(損金)になりますか?
なりません。国税の加算税・延滞税は、法人では損金に、個人では必要経費になりません。地方税の加算金・延滞金も、原則として同じ扱いです。本税とあわせて、資金の手当てを考えておきます。
書面添付制度を使うと、加算税に違いはありますか?
税理士が申告書に書面を添付している場合、調査の事前通知の前に、税理士が税務署から意見を聴かれることがあります。この段階で誤りがわかり修正申告をした場合は、調査の事前通知の前の自主的な修正申告として扱われ、過少申告加算税はかかりません。制度の仕組みは書面添付制度の活用とその基本知識で説明しています。
申告していない年が複数あるときは、何年分さかのぼりますか?
税務署が決定や更正をできる期間は、原則として法定申告期限から5年、偽りその他不正の行為がある場合は7年です。無申告の年が複数あるときは、まず過去5年分の取引と書類を整理し、各年分の期限後申告を進めます。
個人の修正申告をすると、住民税はどうなりますか?
所得税の修正申告の内容は市区町村に伝わり、住民税(個人事業主は個人事業税も)が計算し直されます。増えた分は、市区町村から納付書などで通知されるのが一般的です。住民税にも延滞金がかかる場合があるため、通知が届いたら早めに納めます。
まとめ
申告の誤りは、税務署より先に自分で気づいて動くほど負担が小さくなります。調査の事前通知の前に自主的に修正申告すれば過少申告加算税はかからず、期限後申告も5%で済みます。延滞税は令和8年中は年2.8%(2か月超は9.1%)で日々増えるため、本税をできるだけ早く納め、一度に払えなければ猶予の制度を相談しましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
修正申告・加算税のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂
